空気と環境

大気汚染

 最近では室内空気の汚染問題は、室内の状況を整備するだけでは不足で、外気の影響が非常に大きく作用するようになった。
 大気汚染の原因は、工場や建物などから排出される硫黄酸化物、ばいじん、有毒物質、粉じんなど及び自動車から排出される一酸化炭素、炭化水素などによるもので、発生原因の大半は燃焼の結果によるものである。

硫黄酸化物

 硫黄酸化物が大気汚染として問題となるのは、二酸化硫黄(SO2亜硫酸ガス)と三酸化硫黄(SO3無水硫酸)である。
 硫黄酸化物は、その大部分が石油などの化石燃料の燃焼によって発生する。硫黄酸化物による汚染は、経済の高度成長下における石油の消費の急増に伴い急速に拡大したが、環境基準の設定、排出規制の実施により次第に改善されてきている。
 硫黄酸化物の測定には、電気誘導率法と二酸化鉛(PdO2)法とがあるが、前者は連続測定が可能であるので、各地で硫黄酸化物の測定法として広く使われており、後者は1ヶ月単位で結果が得られるので、各地点の月平均の硫黄酸化物による汚染の程度を調査するのに使用される。

浮遊粒子状物質

 浮遊粒子状物質は、大気中に浮遊する粒子状物質のうち10μ以下のものをいい、大気中に比較的長時間滞留し、人の健康に与える影響の大きいものである。大気汚染物質としては早くから問題にされ、また、ばいじんに対する排出規制などが行われてきたにもかかわらず、減少する傾向には至っていない。
 浮遊粒子状物質の測定は、ろ過捕集による重量濃度を基準として、これと直線的関係が得られる光散乱法を相対濃度測定法として行うことになっている。

降下ばいじん

降下ばいじんは、大気中の粒子状物質のうち重力又は雨によって降下するばい煙、粉じんなどであるが、減少の傾向にある。測定は採取装置を用いて1ヶ月間試料を採取し、その重量の秤量によって行う。

窒素酸化物 ☆

 窒素酸化物(NOx)の発生機構には、燃焼空気中のN2とO2が高温状態で反応生成することによるサーマル(thermal)NOxと、燃料中の窒素化合物が燃焼の際に酸化されて生じるフュエル(fuel)NOxの二つがある。燃料の燃焼に際して生成されるものは大部分が一酸化窒素NOであり、燃焼ガスの冷却過程で一部のNOが酸化され二酸化窒素NO2になる。
 二酸化硫黄の主要な発生源が工場であるのに対し、窒素酸化物の場合は、工場などに加えて自動車のウエイトが高い。窒素酸化物による汚染は、昭和40年代までは増加傾向にあったが、最近ではほぼ横ばいとなっている。
 二酸化窒素の測定法には、ザルツマン試薬を用いる吸光光度法が一般に採用されている。

一酸化炭素 

 一酸化炭素の主要発生源は、自動車の排出ガスである。大気中の一酸化炭素の濃度は、昭和44年頃までは増加する傾向にあったが、自動車排出ガスの規制が逐次強化された結果、着実に減少してきている。
 一酸化炭素の測定には赤外線吸収法が、連続測定可能なため使用される。

炭化水素及び光化学汚染

 炭化水素類は、有機溶剤を使用する工場、石油類のタンクなどから排出され、また、自動車排出ガスにも含有されているなど、多種多様な発生源から排出される。
 光化学汚染は、窒素化合物と炭化水素の光化学反応の結果、二次的に生成されるものであり、その汚染状況は光化学オキシダントの濃度を指標として把握されている。
 オキダント濃度は、気象条件により大きく左右されるが、長期的には減少傾向にある。

臭気

 臭覚は人間の五感のうち最も未発達のものであり、悪臭による被害は個人の主観的な面が強いが、生活環境を損なう公害であるため、苦情件数は騒音についで多い。
 悪臭の原因となる物質は極めて多いが、現在、悪臭防止法で指定されている悪臭物質は、アンモニア、メチルメルカプタン、硫化水素、硫化メチル、二硫化メチル、トリメチルアミン、アセトアルデヒド、スチレンの8物質である。

大気汚染、臭気による障害と防止対策

  • 障害
 大気汚染による被害としては、亜硫酸ガスや粉じんなどによる眼や鼻、のどなどの呼吸器系への刺激感、せき、気管支炎、ぜんそく、肺機能低下、じん肺などの障害がある。一酸化炭素は中枢末梢神経を麻痺させ、二酸化窒素は深部呼吸気道を刺激し、その毒性は亜硫酸ガスよりも強いと言われている。また、炭化水素とともに太陽の紫外線を受け、化学反応によってオキシダントを生み、目がチカチカしたり、のどや鼻が痛むといった光化学汚染となる。このほか、オゾン、亜硫酸ガス、窒素酸化物による植物の枯葉、花や葉の変色、成長の妨害、亜硫酸ガスによる鉄系金属のさび、コンクリートの侵食、塗料の劣化、また、オゾンによるゴムの亀裂などがある。
 悪臭による被害としては、まず第一に、食欲の減退、嘔気、不快感などの生活妨害として認識される。悪臭が長期間反復されると、臭覚減退、臭覚脱失などの障害が起る可能性がある。さらに、悪臭物質の濃度が高い場合には、目、粘膜、皮膚などを刺激し、涙が出たり、せきやたんが増え、頭痛、嘔吐、気管支炎などの症状を呈するが、この程度の被害になると、悪臭の問題というより、有毒ガスによるものと考えられる。

  • 防止対策
 大気汚染の防止対策としては、発生源に関するものと大気拡散に関するものがある。
 発生源に関する対策としては、第一に、ばい煙排出量や汚染濃度を低下させるといった、ばい煙発生施設の改良、第二に、重力集じん装置、慣性力集じん装置、洗浄集じん装置、ろ過集じん装置及び電気集じん装置などによって、ばい煙、粉じんを除外する方法、第三に、ばいじんや硫黄酸化物の少ない燃料への転換、第四に、燃料の燃焼管理を行って、黒鉛などの発生を防止したり、有害物質の発生を制御したりする方法、火炎温度を低くしてNOxを抑制する方法などがある。
 大気拡散に関する対策としては、煙突をできる限り高くすることである。一般に言えば、温度逆転層より煙突を高くすれば、煙はその上方に拡散されるが、逆転層は数百メートルの高さであるので、その実現は困難である。
 風の煙突に対する影響としては、ダウン・ウォッシュとダウン・ドラフトがある。ダウン・ウォッシュとは、風を煙突のすぐ後方にまきこむことで、これを避けるには風速の2倍以上の速さで煙を煙突より排出する必要がある。ダウン・ドラフトとは、煙が地表や建物などの影響で地上をはうように下がることで、これを避けるためには、煙突をできる限り高くすることであるが、建物の影響をなくすためには、建物の2~2.5倍くらいの高さにしなければならないといわれている。





  • 最終更新:2009-10-20 22:51:48

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