気象の条件

気象の条件

日照

 太陽からの放熱線が地上を直射することを日射という。日射時間の長短や日射量の大小は、各地の気候の特色となり自然環境や生活条件、ひいては風俗人情にまで大きな影響を及ぼすといわれる。
 日照時間の長短は、土地の緯度、地形、雲、霧、の発生条件などの総合的な影響によって決まるものである。
 日光をさえぎる障害物のない場所では、晴天であれば日の出から日没までの間、日照をえられる。この時間を可照時間、又は可照時数という。したがって可照時間は土地の緯度によって決まることになる。しかし実際には地形などによる障害物により可照時間は短縮されるので、実際に昼間日光を得られる時間をその位置の真可照時数と呼ぶ。
 実際に日照時間を測定するには、ジョーダンの日照計、キャンベル・ストックスの日照計などを用いるが、日照計で測定されるのは実際の日照の時間数を示すので、これを日照時数という。
 日照時数を気象学上の可照時間の百分率で示したものを日照率という。
 日照により太陽の光と熱のエネルギーは、その表面から電磁波ふく射として地上に到達する。
 太陽ふく射は、波長により紫外線(20~400mμ)、可視線(400~760mμ)及び赤外線(760~4×10の5乗mμ)に大別されており、それぞれ特徴をもっている。
 紫外線は人間の健康に深い関係をもつもので、皮膚を焼いたり、細胞の発育を刺激促進したりするほか殺菌作用や生化学的な作用(生育作用)も行う。一般に紫外線は、日照率が高く空気のきれいな土地に多く、空気の汚れた大都市や東北、北海道などでは紫外線量が不足がちである。普通、地上で認められる紫外線の波長は0.3μ以上のものが多い。
 可視線は、人間の網膜を刺激して光覚を与えるもので、人間の目で感じることができる。
 赤外線は、熱線とも呼ばれているように熱効果をもつものである。

日射

 日射とは、太陽からのふく射が行ういろいろな作用のうち熱作用に関する働きをいい、日射の量は、熱量の単位で表示されている。すなわち、日照により受照面に入射する熱量をその面の日射量といい、日射の強さとは、単位時間内に単位面積に入射する日射量の大小をいう。したがって日射の単位は cal/c㎡・min 又は、kcal/㎡・h で示される。
 日射のエネルギーは、紫外線部分にはほとんど含まれずわずかに1~2%で、可視部において40~45%、赤外線部に53~59%が分布されており、波長にして0.4μ~1.1μの範囲に全日射量の80%が含まれている。
 日射は、地表に到達するまでに大気層を通過してくるために、相当量の熱エネルギーを大気に吸収される。また、大気中の微粒子による散乱によっても弱まるものである。これらの障害をとおり、大気を透過して直接地表に到達する日射を直達日射という。これに対して大気中の微粒子によって散乱された部分は、天空全体からのふく射として地上に到達するもので天空ふく射と呼ばれる。直達日射と天空ふく射は昼間のみに存在するが、雲の厚い日には極めて少ないことになる。
 大気に吸収された日射部分は、大気の温度をあげて地表とお互いにふく射により熱の授受を行う。このふく射は、反ふく射又は逆ふく射と呼ばれる。
 大気における日射の吸収量は、大気中に含まれる水蒸気の量により大きな影響を受けるもので、水蒸気の多いときには日射吸収量は増大し、逆ふく射も大きくなることがわかっている。晴天のとき地表においては、直達日射、天空ふく射、反ふく射の合計を受けることとなる。夜間は反ふく射しか存在しない。
 このようにして、日射やふく射を受けた地表は、相当の温度をもつことになるので、地表から大気に対して熱放散を行うことにもなり、地表における熱の授受は放散量と受射量との差が地表における有効ふく射となる。一般には昼間は有効ふく射は正となり、夜間は負となるので地表は冷却する。
 地表における直達日射と天空ふく射は、前述のとおり大気層の通過に際して弱められる。日射が大気層を垂直に通過する場合、地表に到達する日射の強さと大気層の入り口における日射の強さの比を大気の透過率という。透過率は一般に0.6~0.8の範囲で、大気中に細かいちりや水蒸気の多い夏季に小さくなり、大気の清浄な田舎や水蒸気の少ない冬季には大きくなるのが普通である。

暖冷房デグリーデ

 デグリーデは、暖房に要する年間熱量又は、冷房に要する年間エネルギーを見積もるために用いる指数である。

拡張デグリーデ

 従来の暖冷房デグリーデを見直し、建物の省エネルギー計算のために、日射や内部発熱などの影響をも考慮することができるよう拡張されたものが拡張デグリーデである。

不快指数

 人間の体温調節は、周囲の空気状態の良い場合は容易に行われて快適に過ごせるが、周囲の空気状態が体温調節に適さない状態のときには不快感をもよおす。日本では大部分の地方で夏季に高温多湿のむし暑い気候が多い。気温が高くなると人体と空気との間の温度差が小さくなり、伝導、伝達などによる人体からの放熱は減少する。また、湿度が高くなると、発汗にによる人体表面からの水分の蒸発量は減少して、潜熱の形での放熱も減少し蒸し暑さを感じるようになる。
 このような蒸し暑さによる不快の程度を示す指数を不快指数(DI)という。不快指数を計算する方法はいくつかあるが、次式は J.F. Bosen などにより提案されたものである。
   DI=0.81T+0.01U(0.99T-14.3)+46.3
   ここに、 T=気温(℃)
        U=相対湿度(%)
 日本人の体感では、指数が75を超えると「やや暑さ」を感じ、80以上になると「汗の出る暑さ」となる。85以上では「暑くてたまらぬ」ほどになるとされている。
 東京、大阪などでは、7月、8月は連日指数75以上となり、特に人の集中する場所や条件の悪い特定の場所では指数85を超えることがしばしばある。

逆転層

 気温は、通常上空にゆくにしたがって低下するものである。
 この割合を気温減率と呼び100mについて約0.65℃といわれる。しかし1000m以下の大気層では、天候や昼夜の違いによっていろいろと変化し必ず上空が低温になるとは限らない。この傾向は地表に近ずくにしたがって大きくなり、冬季においては時々この現象がある。
 地表からある高さまでは気温は低下するが、その高さ以上になると上空にゆくほど気温が高くなってゆく場合、その気層を逆転層と呼んでいる。
 逆転層があると、その層を破って空気が動くのを阻止するので、地上で発生した煙などは上空へ拡散されにくく大気汚染の原因ともなる。
 逆転層が形成される原因は気象現象によるものであるが、現在、考えられているのは次のようなものである。
1)接地逆転
 晴夜地表面が放射によって冷却し、地表の空気を冷やす場合に起こる。条件としては大気が清澄で風のない場合に起こりやすい。
2)沈降逆転
 高気圧地域では、地表付近の空気が低気圧部へ流れてゆくが、上空では空気が収束して下向する。この場合、上空の冷気が下降するにしたがって気温減率は小さくなり、ついには逆転層を生じることがある。これを沈降逆転という。
3)乱流逆転
 地表の空気塊が急速に上昇する場合、山などに吹きあてられたりすると、急速に冷却されて周囲の空気温度より低くなる。このような乱気流では、その気流の上にある空気の方が温度が高くなり逆転層をつくる原因となる。
4)前線性逆転
 低気圧の域内では、北からも南からも空気が流れ込んでくる。この場合、北からの寒気は、南からの暖気より密度が大きいのでの、寒気が暖気の下側にもぐりこむような形となる。このように下層に寒気、上層に暖気となると、その境目は逆転層となるのである。



  • 最終更新:2009-08-11 23:48:09

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