室内空気汚染

 人間の居住する室内の空気は、人間の新陳代謝による熱、水分、CO2の発生、O2の減少、体臭その他の臭気、粉じん、細菌の放出、喫煙、作業による熱、ガス、蒸気などにより絶えず汚染されてゆくものである。室内空気の汚染を避け、室内空気を清浄に保つためには、空気中のじんあい、細菌、有毒ガス、臭気などを十分に除去する必要がある。

酸素 ☆

 人体がその生命を維持していくのになくてはならない酸素は、一般に大気中には約21%含まれている。この量が19%に低下すると不完全燃焼が始まって一酸化炭素を発生し、15%に低下すると消火するといわれる。酸素濃度がこの程度になると、脈拍や呼吸数が増え大脳機能が低下する。10%以下になると意識不明となり、約6%以下では数分間で昏睡死亡する。

炭酸ガス(CO2) ☆

 室内における炭酸ガスは、在室者の呼吸によって増加する。炭酸ガスは無色無臭で、それ自体は直接人体に有害とはならないが、その濃度は空気の汚染度と並行することが多いので、空気の清浄度の指標とされている。自然環境では炭酸ガスは大気組成の0.03%前後であるが、室内環境基準では0.1%(1000ppm)まで増加してもよいこととされている。炭酸ガス含有量による人体に対する有害度の一例を表2.3-1に示す。

     表2.3-1 CO2の許容濃度と有害度濃度
濃度% Vol  意     義
 0.07  多数継続在室する場合の許容濃度(Peffenkoferの説)
 0.10  一般の場合の許容濃度(Peffenkoferの説)
 0.15  換気計算に使用される許容濃度(Rietschelの説)
0.2~0.5 相当不良と認められる
0.5以上 最も不良と認められる
4~5 呼吸中枢を刺激して、呼吸の深さ、回数を増す。呼吸時間が長ければ危険、O2の欠乏を伴えば障害は早く生じ決定的となる。
~8~ 10分間呼吸すれば強度の呼吸困難、顔面紅潮、頭痛をおこす。O2の欠乏を伴えば障害はなお顕著となる。
18以上 致命的
摘要:CO2そのものの有害限度ではなく、空気の物理的、化学的性状がCO2の増加に比例して悪化すると仮定した時の汚染の指標としての許容濃度を意味する。

一酸化炭素 ☆

 燃焼中に酸素の供給が不足すると一酸化炭素を発生する。一酸化炭素の空気の対する比重は0.967で炭酸ガスの1.53に比較すると小さな比重である。また、無色無臭でもあり、その存在は容易にはつかめない。一酸化炭素は人体に有害なガスであるので、これは極めて危険なことである。表2.3-2は、一酸化炭素の濃度による人体の中毒症状を示したものであるが、厳に注意を要する。
 一般に有害ガスの許容濃度は、かなり微量である。ガス量の測定法には、物理的、化学的、生物的な各種の方法があるが、簡単なものはガス検知管法が一般に使用されている。

     表2.3-2 CO2の濃度と中毒症状
濃度%  呼吸時間と症状 
0.02 2~3時間内に前頭に軽度の頭痛
0.04 1~2時間で前頭痛、吐き気・2.5~3.5時間で後頭痛
0.08 45分で頭痛、めまい、吐き気、けいれん・2時間で失神
0.16 20分で頭痛、めまい、吐き気・2時間で致死
0.32 5~10分で頭痛、めまい・30分で致死
0.64 1~2分で頭痛、めまい・10~15分で致死の危険
1.28 1~3分で致死

浮遊粉じん

 室内における浮遊粉じんの発生は、在室者の活動によりその衣服の繊維やほこりによるもの、喫煙や暖房器具によるものなどであり、その量は空気の乾燥によって増加する傾向にある。
 一般に浮遊じんあいといわれるものの大きさは、直径0.01~150μ(ミクロン)程度で、このうち10μ以上の粒子は時間とともに沈降するが、10μ以下のものは長い間浮遊して浮遊ふんじんとなり人体に害を与える。
 1μ以上のものは気管において付着し「たん」となって排出される。しかし、煙草の煙(0.01~0.15μ)のような1μ以下のものは容易に肺に達するので、無水珪酸(SiO)など無機性のじんあいで小さなものは肺障害をおこす原因となる。また、病原性の細菌やカビがじんあいに付着している場合もあるので浮遊じんあい量を減少させることは、空気の清浄化に役立つものである。
 浮遊じんあいの量がどの程度増加すると衛生上有害であるかを決めることはなかなか難しいが、室内の環境基準値としては0.15mg/m3以下とされている。一般にその量は空気1m3中の重量mg(mg/m3)又は空気1cm3中の個数(P/cm3)で表示されている。

臭気 ☆

 人間の多数存在する室内では、いろいろな臭気が発生する。室内の換気が不十分であれば臭気がこもって不快感をもよおし頭痛や吐き気の原因ともなる。
 臭気の原因としては、人の呼吸、口臭、汗、皮膚からの分泌物によるものや、喫煙、調理によるものなどがある。臭気の本質は、なかなかつかみにくく、数字で表すことも難しいが、ヤグローは経験的な判断により表2.3-3のように臭気の段階をつけている。

   表2.3-3 ヤグローによる臭気の強さ指標
臭いの強さの指標 示 性 語
0 無臭(None)
1/2 認知限界(Threshold)
1 明確(Definite)
2 普通(Moderate)
3 強し(Strong)
4 猛烈(Very strong)
5 耐え得ず(Overpowering)

 臭気は、炭酸ガス量と同じように空気汚染を知る指標とされている。これは臭気除去の方法として室内空気の換気によることが最も有効とされているため、臭気の多少は、換気状態の良否を知り得るからである。
 一般に、喫煙の臭気を除去するための換気量は1人約25m3/h以上が必要とされている。






  • 最終更新:2009-10-20 22:52:26

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