人間と環境

環境

人間と環境 - 概要

 人間が健康で快適な生活を送るためには、周囲に快適な環境を得なくてはならないが、日本の自然環境は、「日本の気候」で記述したとおり、冬季や夏季には温度、湿度共に相当厳しい気象条件となる地方も多い。また、生活環境としては屋外の気象条件ばかりでなく、屋内において人為的に生じる悪条件もしばしば発生する。人間の生活環境としては、空気の温湿度・気流・ふく射などに関する熱環境、空気中に含まれる酸素・粉じん・有毒ガス・臭気・イオンなどに関する空気環境、生活に要する上水・下水などに関する水環境、音響効果・騒音などによる音環境などが考えられる。
 これらの環境要素は、生活には非常に関連深いものであり、環境整備に国民の深い関心がよせられるようになってきており、法規においても従来のものより次第に環境重視の方向に変わりつつある。
 室内の環境基準として、建築基準法では表2.1-1のような性能を定めている。これは中央管理方式の空気調和の持つべき性能とされており、省エネルギーの観点から温度、湿度、CO2濃度などに関する値を再検討すべきであるとの意見もあるが、室内環境の一つの基準値として遵守したいものである。

   表2.1-1 中央管理方式の空気調和設備の室内環境基準
浮遊粉じん量 空気1㎥につき0.15mg以下
CO含有率 10ppm以下
CO2含有率 1000ppm以下
温度 17℃以上、28℃以下 居室における温度を外気の温度より低くする場合には、その差を7℃以上としないこと。
相対湿度 40%以上、70%以下
気流 0.5m/s以下
※この表は、施工管理技士の試験でよく使われています。

人体

 生物が生長したり生命を維持してゆくには、体内において絶えず代謝が行われている。代謝は生物体内の物理的、化学的な反応過程である。人体においては主としてC及びH2を含む化合物を酸化してCO2及びH2Oに変え、この際発生するエネルギーで運動や仕事を行っている。また、このエネルギーのうち一部を体外に放熱して一定体温を保つ働きをしている。

基礎代謝

 生物の体内における代謝は、その生物のおかれた様々な状態によって、いろいろな原因で変動する。変動を避けるため、一定の状態を仮定して基準の代謝量を算定したものを基礎代謝という。人体については、
1)8時間以上の睡眠後における早朝
2)食事後12~14時間
3)環境良好で外的ストレスの無い状態で気温20℃
4)測定前30分間の肉体的、精神的な安定
の条件を定めて、その時の代謝を生命保持のための最低必要なものとし、基礎代謝と呼んで体表面積当り、1時間の必要熱量で表示する。日本人の基礎代謝基準値を表2.1-2に示す。

     表2.1-2 日本人の基礎代謝基準値(kcal/㎡・h)
年齢 男子 女子
1歳 53.6 52.6
5歳 55.1 51.6
10歳 46.2 44.1
20~29歳 37.5 34.3
30~39歳 36.5 33.2
40~49歳 35.6 32.5
50~59歳 34.8 32.0

 このように基礎代謝を定めておくと、いろいろな作業に従事したときのエネルギー代謝が、基礎代謝に比較してどの程度になるかを知ることができる。これをエネルギーの代謝率という。

エネルギーの代謝率=(作業代謝量-安静時代謝量)÷基礎代謝量

安静時の代謝

 作業をしていないときの代謝を安静時代謝量といい、基礎代謝量の約20%増となる。

呼吸商

 人体は代謝に際してO2を摂取し、CO2を排出するが、この割合を呼吸商という。

呼吸商=CO2排出量÷O2摂取量

呼吸商は体内で糖質、蛋白質、脂肪などの栄養素が利用される割合により異なり、安静時には小さく、作業が重くなるにしたがい大きくなる。その値は大体0.7~1.0の間になる。

作業強度

 作業の強弱により、人体の消費熱量は当然かわるが、一般には作業内容に段階をつけて分類すると、おおよその代謝率や消費熱量を知ることができる。

met(メット)

 安静時における熱代謝の標準値を50kcal/㎡・hとして、これを1metという。

呼吸組成

 人体は呼吸によって酸素を消費し、炭酸ガスを排出するが、その組成としては、おおよそ表2.1-3のようである。

     表2.1-3 呼吸組成
---- 呼気量(cm3/回) 呼吸数(回/分) 呼吸量(cm3/分) 呼吸商 O2消費量(cm3/分) CO2発生量(cm3/分)
男子平均 282 20.9 5,893 0.736 283.9 207.9
女子平均 206 20.5 4,230 0.708 189.8 134.1

clo(クロ)

 衣服の熱絶縁性を示す単位で、気温21℃、相対湿度50%、気流5cm/s以下の室内で体表面からの放散熱量が1metの代謝と平衡するような着衣状態を基準とし1cloという。
 通常の熱抵抗値に換算すると、1clo=0.18㎡・h・℃/kcal となる。




  • 最終更新:2009-10-20 22:49:24

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